- 1 1. はじめに:Ubuntu LiveUSBとは?
- 2 2. ライブUSBのメリットと活用シーン
- 3 3. 準備するものと注意点
- 4 4. 手順:Ubuntu ライブUSBの作成方法
- 5 4.1 ISOイメージの入手
- 6 4.2 USB書き込みソフトを使った作成手順(Windows+Rufus編)
- 7 4.3 起動後の動作確認(Try Ubuntu モード)
- 8 4.4 macOS と Linuxで作成する場合の簡易ガイド
- 9 5. 応用:永続化(Persistence)設定と使いこなし
- 10 永続化(Persistence)とは?
- 11 Rufusを使った永続化の設定方法(Windows)
- 12 永続化を使うとできること
- 13 永続化のデメリット・注意点
- 14 永続化の活用シーン
- 15 6. よくあるトラブルとその対処法
- 16 6.1 USBから起動しない(最も多いトラブル)
- 17 6.2 起動はするが日本語が入力できない
- 18 6.3 ネットワークに接続できない・Wi-Fiが見えない
- 19 6.4 永続化が機能しない(設定やファイルが保存されない)
- 20 6.5 USBの速度が遅すぎて操作が重い
- 21 6.6 Ubuntuのライブモードがクラッシュする・フリーズする
- 22 7. まとめと次のステップ
- 23 7.1 本記事の総まとめ
- 24 7.2 読者が次に進むべきステップ
- 25 7.3 最後に
- 26 8. FAQ(よくある質問)
- 26.1 Q1. LiveUSB を使うと、今の Windows や macOS のデータは消えますか?
- 26.2 Q2. LiveUSB はどんなパソコンでも使えますか?
- 26.3 Q3. 起動後にインストールしていないのに、なぜ日本語が使えないことがあるの?
- 26.4 Q4. 永続化(Persistence)を有効にすれば、普通のUbuntuみたいに使えますか?
- 26.5 Q5. USBメモリはどんな製品でもLiveUSBにできますか?
- 26.6 Q6. LiveUSB の Ubuntu にウイルスは入りますか?
- 26.7 Q7. LiveUSBでファイルを保存したのに消えてしまいました。なぜ?
- 26.8 Q8. LiveUSB から本格的に Ubuntu をインストールできますか?
1. はじめに:Ubuntu LiveUSBとは?
パソコンに新しいOSを入れて試してみたいけれど、「今のWindows環境が消えたら困る」「インストール作業が難しそうで不安」という理由で、一歩を踏み出せない人は少なくありません。
そんなときに便利なのが、USBメモリから直接Ubuntuを起動できる 「Ubuntu LiveUSB(ライブUSB)」 です。
Ubuntu LiveUSBの基本イメージ
Ubuntu LiveUSBとは、Ubuntuのシステム一式をUSBメモリに入れ、そこからパソコンを起動できるようにしたものです。
通常のOSインストールと違い、ハードディスクやSSDの内容を書き換えずに、USBメモリ側から一時的にUbuntuを動かします。
- 既存のWindowsやmacOSを消さずにUbuntuを試せる
- パソコン本体にはほとんど手を加えないので、安全性が高い
- USBメモリを持ち歩けば、別のPCでも同じUbuntu環境を起動できる
といった特徴があり、「まずはUbuntuの雰囲気を知りたい」「古いPCがUbuntuで動くか確認したい」といったニーズにぴったりの仕組みです。
なぜ今、Ubuntu LiveUSBなのか
近年は、低価格ノートPCや古いPCを再活用したいというニーズが増えています。
その一方で、いきなりディスクをフォーマットしてUbuntuを入れるのはリスクも大きく、業務用PCや家族共用PCではなおさら難しい場面もあります。
Ubuntu LiveUSBなら、
- 仕事用PCにインストールせずに、空き時間にUbuntuを触ってみる
- 古いPCがUbuntuで軽快に動くか、インストール前にチェックする
- OSが起動しなくなったPCから、データをレスキューするための緊急起動環境として使う
といった用途に活用でき、「Ubuntuを試したい」と「今の環境を壊したくない」 という相反する気持ちをうまく両立してくれます。
本記事で得られること
本記事では、Ubuntu LiveUSBをまだ使ったことがない初心者の方を想定しながら、
- ライブUSBの基本的な仕組みや特徴
- 実際にUbuntu LiveUSBを作成するために必要なもの
- 作成から起動までの流れと、押さえておきたい注意点
- 設定やファイルを保存できる「永続化」の概要
- うまく起動しない場合のトラブルシューティングの方向性
といったポイントを、順を追って解説していきます。
2. ライブUSBのメリットと活用シーン
Ubuntu LiveUSBは、ただ「USBからUbuntuを起動できる」だけの仕組みではありません。
環境を壊さない安全性や、持ち運びができる利便性など、多くのメリットがあります。
ここでは、実際にどんな場面で役立つのかを含めて整理していきます。
ライブUSBの主なメリット
1. インストール不要でUbuntuを体験できる
Ubuntu LiveUSBの最大の利点は、PCの内部ストレージを一切変更せずにUbuntuを起動できる点です。
現在使っているWindowsやmacOSの環境を残したまま、Ubuntuの操作感・動作速度・アプリの使い勝手を確認できます。
2. 既存OSへの影響がほぼゼロ
インストール方式とは異なり、LiveUSBはUSB側だけで動作します。
誤操作によるデータ消失やパーティション破壊のリスクが低く、初心者でも安心して試せます。
3. USBメモリ1本で“自分のLinux環境”を持ち歩ける
LiveUSBを持っていけば、対応するPCで同じUbuntu環境を簡単に再現できます。
出先のPC・研究室のPC・自宅のサブPCなど、場所を問わず利用できる柔軟さが魅力です。
4. システムトラブル時の緊急復旧ツールとして使える
WindowsやUbuntu本体が起動できなくなったとき、LiveUSBがあれば外部からPCを起動してデータ救出が可能です。
- 内部ディスクからファイルをコピー
- ブート設定の確認
- 破損ファイルの修復
といった作業も行えます。
5. 古いPCの動作確認・延命に使える
「古いノートPCがUbuntuで動くか確かめたい」という場面は意外と多いものです。
LiveUSBなら、実際に起動して挙動を見てからインストールするか決められます。
活用シーンの具体例
● Ubuntuを“まず試したい”初心者
「Linuxに興味があるけれど、難しそうで怖い」という場合、LiveUSBは最適なスタート地点です。
● 社用PC・学校PCでインストールできない環境
管理者権限がなく本体にOSを入れられない場合でも、USB起動が許可されていればLiveUSBで動かせます。
● 出張や外出先でも同じ作業環境を使いたい技術者
開発ツールや設定を永続化すれば、持ち運べる“ポータブルLinux環境”として非常に便利です。
● デスクトップが壊れた際のデータレスキュー
OSが起動しないトラブルは珍しくありません。
LiveUSBがあるだけで、緊急時の復旧難易度が大幅に下がります。
● 古いPCをお試しで復活させたいユーザー
ライブ起動で問題なく動けば、その後インストールして軽量Linuxとして再利用可能です。
Ubuntu LiveUSBは、単なる「お試し用ツール」を超えて、普段使いから緊急時の実用まで、幅広い価値があります。
3. 準備するものと注意点
Ubuntu LiveUSBを作成する前に、必要な機材や事前の確認ポイントを整理しておきましょう。ここを押さえておくと、作成時のトラブルや悩みを大幅に減らせます。
必要なもの
● USBメモリ(推奨:16GB以上)
UbuntuのISOイメージは数GBのサイズがあり、ライブ環境として起動するためにもある程度の容量が必要です。
最低でも 8GB は欲しいところですが、16GB以上 の方が安定し、永続化(Persistence)を使う場合にも余裕が出ます。
● 書き込み元となるPC(Windows/macOS/Linuxいずれでも可)
LiveUSBは、どのOSからでも作成できます。
一般的にはWindowsユーザーが最も多く、専用ツールが充実しているため作業も簡単です。
● UbuntuのISOイメージ
Ubuntu公式サイトからダウンロードします。
通常版の他に、日本語環境が整った「日本語Remix」もあります。
- Ubuntu公式サイト
- Ubuntu Japanese Team(日本語Remix)
どちらでも問題ありませんが、日本語環境を最初から使いたい場合は後者が便利です。
● USB書き込み用ソフトウェア
OSごとに使えるツールが異なりますが、以下のどれでも作成可能です。
- Rufus(Windows) … 初心者に最も分かりやすく高速
- balenaEtcher(Windows / Mac / Linux) … シンプルで誤操作が少ない
- UNetbootin … マルチプラットフォームで軽量
特にWindows環境で作るなら Rufus が王道で、ほとんどのケースで失敗しません。
事前に確認しておきたい注意点
● USBメモリのデータはすべて消える
LiveUSB作成時には、USBメモリが完全に初期化されます。
必要なデータは事前にバックアップしておきましょう。
● USBメモリの品質・速度で快適さが変わる
古いUSBメモリや安価な製品は読み書き速度が遅く、Ubuntuの起動やアプリの動作が重くなりがちです。
可能であれば、
- USB 3.0以上
- 有名メーカー製
を選ぶと体感速度がかなり違います。
● BIOS/UEFI でUSB起動が許可されているか確認
PCによっては、USBメモリからの起動が無効になっていることがあります。
- Boot Mode(UEFI/Legacy)
- Secure Bootの有効/無効
- Boot Priority(起動順位)
といった項目を事前に確認しておくと、後で焦らずに済みます。
● 起動しない場合の原因は「PC側」が多い
LiveUSBの失敗=USBメモリの問題と思いがちですが、実際には
- Secure Bootが有効
- UEFIとLegacyモードが合わない
- USBポートの接触不良
など、PC側の設定が原因で起動できないケースがよくあります。
● 永続化(Persistence)は全ツールで対応しているわけではない
後のセクションで詳しく説明しますが、設定やファイルを保存できる「永続化」は、
すべての作成ツールがサポートしているわけではありません。
永続化を前提とする場合は、Rufusのように対応しているツールを使いましょう。
LiveUSBの準備段階では、このようなポイントを押さえておくことが重要です。
4. 手順:Ubuntu ライブUSBの作成方法
ここでは、Ubuntu LiveUSB を実際に作成するための手順を、初心者でも迷わないようにステップごとに解説します。
今回は最も利用者の多い Windows+Rufus を中心に説明しつつ、Mac・Linux向けの作業にも触れます。
4.1 ISOイメージの入手
まずはUbuntu本体となる ISOイメージ を用意します。これはUbuntuを起動するための「OSの中身」です。
● Ubuntu公式サイトからダウンロード
安定版(LTS)の最新バージョンを選べば問題ありません。
一般的には「Ubuntu 24.04 LTS」などが長期サポートで安心です。
● 日本語環境が整った Ubuntu Japanese Remix も選べる
Ubuntu Japanese Team が公開しているRemix版は、
- 日本語入力環境(Mozc)
- 日本語フォント
- 日本語ロケール設定
などが最初から整っているため、初心者でも使いやすいのが特徴です。
どちらを選んでもLiveUSBは同様に作成できます。
4.2 USB書き込みソフトを使った作成手順(Windows+Rufus編)
Windowsユーザーには Rufus が最もおすすめです。操作が分かりやすく、失敗が少ないのが魅力です。
ステップ1:USBメモリをPCに挿す
USBメモリを接続し、Windowsに認識されたことを確認します。
このUSBメモリ内のデータはすべて消えるため注意してください。
ステップ2:Rufusを起動する
公式サイトからRufusをダウンロードし、実行します。
インストール不要でそのまま使えるタイプのソフトです。
ステップ3:LiveUSBに必要な設定を行う
Rufusの画面で以下を設定します。
- デバイス:使用するUSBメモリ
- ブートの種類:ダウンロードしたUbuntu ISOを選択
- パーティション構成:
- UEFI環境 → GPT
- Legacy BIOS環境 → MBR
(迷う場合は GPT&UEFI が一般的)
- ファイルシステム:FAT32
- ボリュームラベル(任意):UbuntuLiveUSB など
永続化を使いたい場合は、後述する「スライダー」で保存領域を指定できます。
ステップ4:書き込み開始
設定が完了したら「スタート」をクリックします。
USBメモリが初期化され、UbuntuのLiveUSBが作成されます。
※ 10〜15分程度かかることがあります。
ステップ5:USBから起動して動作確認
書き込みが完了したら、PCを再起動し、
起動メニュー(Boot Menu) から「USBメモリ」を選択します。
メーカーごとのショートカットキー例
- Dell:F12
- HP:F9
- Lenovo:F12
- ASUS:F8
- NEC:F7
(PC起動時に表示されます)
USB起動に成功すると、Ubuntuのメニューが表示されます。
4.3 起動後の動作確認(Try Ubuntu モード)
USBから起動すると、画面に以下のような選択肢が現れます。
- Try Ubuntu(インストールせず試す)
- Install Ubuntu(インストール)
ここでは Try Ubuntu を選んでください。
するとUbuntuのデスクトップが立ち上がり、
アプリの起動や設定の確認、ネットワーク接続などを自由に試せる状態になります。
日本語表示・日本語入力の確認
通常版Ubuntuでは、日本語入力設定が必要になることがあります。
もし日本語が入力できない場合は、
- 設定 → 地域と言語 → 日本語を追加
- IME(Mozc)の有効化
などを行えば対応できます。
4.4 macOS と Linuxで作成する場合の簡易ガイド
● macOS(balenaEtcherを使用)
- balenaEtcher をインストール
- Ubuntu ISOを選択
- USBメモリを選択
- Flash ボタンで書き込み
操作が非常にシンプルで、迷うポイントはほとんどありません。
● Linuxの場合(標準のUSBクリエーターなど)
Ubuntu系のシステムでは、Startup Disk Creator や dd コマンドで作成できます。
例:コマンドによる書き込み(上級者向け)
sudo dd if=ubuntu.iso of=/dev/sdX bs=4M status=progress5. 応用:永続化(Persistence)設定と使いこなし
Ubuntu LiveUSBは、通常モードでは「設定やファイルが再起動で消える」という特徴があります。
しかし 永続化(Persistence) を設定することで、USBメモリ内に保存領域を作り、
- 追加したアプリ
- Wi-Fi設定
- 壁紙やテーマ変更
- 作業用データ
などを 次回起動時まで保持 できるようになります。
ここでは、永続化の仕組みと設定方法、実際のメリット・注意点について詳しく解説します。
永続化(Persistence)とは?
● 設定・データをUSB内に保存できる仕組み
通常のUbuntu Live環境は「お試し用」として設計されており、
再起動すると環境が初期状態に戻ります。
永続化とは、USBメモリの中に 専用の保存領域(casper-rwなど) を確保し、
そこに変更内容を記録する仕組みです。
これにより、LiveUSBでも
- 日本語入力設定
- ブラウザのブックマーク
- 追加したアプリ
- ターミナル履歴
- Wi-Fi接続情報
などを保持でき、ポータブルな“自分専用のUbuntu環境”として使えます。
● 永続化が向いている用途
- 個人設定を保存したまま 持ち歩くLinux環境 が欲しい
- 出張先や職場のPCで同じ環境を使いたい
- 低スペックPCでも軽いUbuntuを常用したい
- テスト環境を簡単に移動させたい
Rufusを使った永続化の設定方法(Windows)
Rufusは永続化に対応しており、非常に簡単に設定できます。
ステップ1:通常のLiveUSB作成画面を開く
USBメモリを選択し、Ubuntu ISOを読み込んだ状態で進みます。
ステップ2:「永続化領域(Persistence)」のスライダーを調整
Rufusに「保存領域(Persistence)」というスライダーが表示されます。
ここで領域サイズを指定します。
- 4GB
- 8GB
- 16GB以上(USB容量に応じて)
永続化で使いたい分だけスライダーを右に動かしてください。
ステップ3:LiveUSBを作成
通常の手順と同じように「スタート」を押すだけで、永続化対応のUbuntu LiveUSBが完成します。
永続化を使うとできること
● 設定の保存
- 日本語入力設定(Mozc)
- 時計・言語設定
- デスクトップテーマ
などがそのまま残り、再起動しても元の状態で使えます。
● アプリのインストールも保持可能
- VLC
- Visual Studio Code
- Pythonパッケージ
- Git などの開発ツール
USBに保存されるため、持ち歩く開発環境としても機能します。

● ブラウザデータの維持
- ブックマーク
- 拡張機能
- ログイン情報(自己責任)
ChromeやFirefoxを「自分の環境」のまま利用できます。
永続化のデメリット・注意点
永続化は便利ですが、制限もあります。
● USBメモリの速度が遅いと動作が重い
USB 2.0 や安価なUSBではアプリ起動・更新処理がかなり遅くなります。
USB 3.0 / 3.1以上推奨
● 保存領域は壊れやすい
頻繁な書き込みがあるため、永続化領域(casper-rw)が破損することがあります。
特に以下の操作で破損しやすい傾向があります。
- 大量のファイル転送
- apt update / upgrade を繰り返しすぎる
- USBを強制的に抜く
破損した場合は作り直す必要があります。
● 本格的なHDD/SSDインストールとは安定性が異なる
永続化USBは「仮の保存領域」であり、
- カーネル更新
- 大型アップデート
などは基本的に想定されていません。
永続化の活用シーン
● ポータブル開発環境
Python + VSCode + Git のような環境をUSBにまとめ、持ち歩いてどのPCでも同じ環境で開発できます。
● 外出先での作業用OS
仕事先や学校のPCを汚さずに、自分用Ubuntu環境が使えます。
● トラブル対応用の救急OS + 設定保存
レスキュー用ツールをインストールしておくと便利です。
- ディスクチェック
- パーティション操作
- ネットワーク調査
- データ救出ツール
緊急時に頼れる1本が作れます。
永続化を活用すれば、Ubuntu LiveUSBは「ただのお試し環境」ではなく、どこでも使える本格的な携帯Ubuntu環境 として進化します。
6. よくあるトラブルとその対処法
Ubuntu LiveUSB は比較的シンプルな仕組みですが、作成・起動時にトラブルが発生することもあります。
ここでは実際にユーザーから報告の多い問題をまとめ、原因と対処方法を順番に整理します。
6.1 USBから起動しない(最も多いトラブル)
● よくある原因
- BIOS/UEFI で USB 起動が無効
- 起動順位(Boot Priority)が内蔵ディスクのまま
- Secure Boot が有効
- UEFI / Legacy のモードが合っていない
- USBメモリ自体が正しく作成されていない
特に Secure Boot と起動順序の問題 が圧倒的に多いパターンです。
● 対処法
- BIOS/UEFI を開く
PC起動直後に F2 / DEL / F12 などを押して設定画面に入る。 - USB起動を有効化する
- Boot Menu:USB Storage / Removable
- Boot PriorityをUSBが1番に来るように設定
- Secure Bootを無効化してみる
一部のUSBや古いPCでは Secure Boot が干渉して起動できません。 - UEFI / Legacy のモードを見直す
- 新しいPC → UEFI
- 古いPC → Legacy(CSM)
- USBポートを変える
フロントパネルやUSB 3.0ポートで認識しない場合、USB 2.0 に差すと改善することがあります。
6.2 起動はするが日本語が入力できない
● 原因
標準のUbuntu Live環境では、
「日本語入力(IME)が未設定」になっていることがあります。
● 対処法
- 設定 → 地域と言語
- 日本語を追加
- 入力メソッドを「Mozc(日本語)」に変更
- 再ログイン
※ Ubuntu Japanese Remix を使うと最初から日本語が利用可能です。
6.3 ネットワークに接続できない・Wi-Fiが見えない
● よくある原因
- ドライバが自動認識されていない
- 特定のWi-Fiチップが未対応
- ハードウェアスイッチがOFF(古いノートに多い)
● 対処法
- 有線LANで一度アップデート
→ 多くの場合、ドライバが自動で補完されます。 - 「追加のドライバー」ツールを開く
無線LANのドライバが表示され、選択して有効化できます。 - ハードウェアのWi-Fiスイッチ確認
古いノートでは物理スイッチがあるケースがあります。
6.4 永続化が機能しない(設定やファイルが保存されない)
● 原因
- Rufusなどで保存領域を設定していない
- 保存領域(casper-rw)が破損している
- 書き込み容量が不足
- 永続化に非対応の作り方をしている
● 対処法
- 永続化を有効にしたUSBを作り直す
- 容量を増やして再構築する
- 破損時は新しくLiveUSBを作成するのが最速解決
永続化は便利ですが、通常のインストールとは違い、
大規模アップデート・大量の書き込みには弱いことを理解して使いましょう。
6.5 USBの速度が遅すぎて操作が重い
● よくある原因
- USB 2.0メモリを使用
- 低品質なUSB製品
- 書き込み回数が多く劣化している
● 対処法
- USB 3.0以上の高速モデルを使う
- 有名メーカー製を選ぶ
- 可能であればUSBメモリより 外付けSSD の方が圧倒的に快適
6.6 Ubuntuのライブモードがクラッシュする・フリーズする
● 原因
- PC側のグラフィックドライバとの相性
- 起動オプションの不一致
- メモリ不足(4GB未満の古いPCで起こりやすい)
● 対処法
- 起動メニューで “Safe graphics mode” を試す
- メモリの少ない古いPCでは軽量版の Xubuntu / Lubuntu を使う
- 別バージョン(LTS → 前バージョンなど)で試す
LiveUSB のトラブルは、USB側ではなく PC側の設定問題 が原因になりやすい傾向があります。
一つずつ設定を確認すれば、ほとんどの問題は解決できます。
7. まとめと次のステップ
ここまで、Ubuntu LiveUSB の基礎から作成手順、応用、そしてトラブル対処までを順を追って解説してきました。
最後に、本記事の内容を振り返りながら、読者が次にどのようなステップに進むべきかを整理します。
7.1 本記事の総まとめ
● Ubuntu LiveUSBとは?
USBメモリからUbuntuを起動できる仕組みで、
インストール不要・環境を壊さない・安全に試せる のが最大の特徴でした。
● LiveUSBが選ばれる理由
- 現在のOSを残したままUbuntuを使える
- 古いPCの動作チェックや復活用途に使える
- 緊急時のレスキュー環境として優秀
- USB 1本で“持ち歩けるOS”として利用できる
実際には、初めてのLinux体験に最も適したアプローチと言えます。
● 作成に必要なもの
- 8GB以上のUSBメモリ(推奨16GB〜)
- UbuntuのISOイメージ
- Rufus / balenaEtcher などの書き込みツール
- USB起動を許可したPC
これらが揃っていれば、誰でも簡単にLiveUSBが作れます。
● LiveUSBの作り方
Windows+Rufusを例に、
- USBメモリを選択
- ISOファイルを指定
- 設定を確認
- 書き込み(作成)
- 再起動 → USBから起動
という流れで進めました。
● 永続化(Persistence)
設定やファイルを保存できる“保存領域”を作ることで、ポータブルな Ubuntu 環境として本格利用が可能になります。
● よくあるトラブル
- USB起動しない
- 日本語入力ができない
- Wi-Fiが動かない
- 永続化が働かない
- USBが遅くて操作が重い
などの代表的な問題と、その対処法を解説しました。
7.2 読者が次に進むべきステップ
Ubuntu LiveUSB を作成して起動できたら、次は以下のステップに進むと、Ubuntuの理解が一気に深まります。
ステップ1:Ubuntuの基本操作を覚える
- ターミナルの開き方
- アプリのインストール方法
- ファイル操作
などを学ぶことで、Linux操作の基礎が身につきます。
ステップ2:必要なアプリをインストールする
開発者なら VSCode や Git、一般ユーザーなら Chromium や LibreOffice など、用途に応じて環境を整えてみましょう。
ステップ3:古いPCにインストールして常用してみる
LiveUSBで動作確認ができたら、そのPCに Ubuntu を常用OSとしてインストールするのも一つの選択です。
ハードディスクが遅い場合は SSD に交換すると、古いPCでも非常に快適に動きます。
ステップ4:外付けSSDに本格環境を構築する
USBメモリでは速度に限界がありますが、外付けSSDにUbuntuをインストールすれば
- 高速
- 安定
- 持ち運び可能
な “本格的なポータブルLinux” が手に入ります。
7.3 最後に
Ubuntu LiveUSB は、「Ubuntuを触ってみたい」「古いPCを復活させたい」「安全に試したい」という多くのニーズに応える、非常に優れた仕組みです。
本記事を通して、Ubuntuに触れるハードルが少しでも下がり、Linuxの世界を楽しむきっかけになれば嬉しく思います。
次は FAQ 形式で、読者が抱えがちな疑問に回答していきます。
引き続き、安心して読み進めてください。
8. FAQ(よくある質問)
Ubuntu LiveUSB を初めて使う際に、多くの人がつまずいたり不安に感じたりするポイントを、Q&A形式でまとめました。実際のユーザーからよく寄せられる疑問を中心に、分かりやすく回答します。
Q1. LiveUSB を使うと、今の Windows や macOS のデータは消えますか?
A. 消えません。
LiveUSB はあくまで USB メモリ側で Ubuntu を起動するだけ なので、内部ストレージ(HDD/SSD)には基本的に一切手を加えません。
ただし、内蔵ディスクを操作するような処理を行えば影響が出る可能性はあるため、通常利用では問題ありませんが「インストール」や「パーティション操作」を選ばないよう注意してください。
Q2. LiveUSB はどんなパソコンでも使えますか?
A. 多くのPCで動きますが、起動方法は機種によって違います。
特に影響するのは以下の項目です。
- USB ブートが許可されているか
- Secure Boot が有効になっていないか
- UEFI / Legacy モードの違い
- 古いPCの場合はUSB 3.0との相性
設定を調整すれば、ほとんどのPCで動作可能です。
Q3. 起動後にインストールしていないのに、なぜ日本語が使えないことがあるの?
A. 標準のUbuntuは英語環境が基本設定だからです。
ライブモードの場合、言語設定が最小限のため、
- 日本語入力(Mozc)が未インストール
- ロケール設定が英語のまま
で起動する場合があります。
対処法は次のとおりです。
- 設定 → 地域と言語
- 日本語を追加
- 入力メソッド「Mozc」を適用
日本語Remixを使うと最初から整っているためおすすめです。
Q4. 永続化(Persistence)を有効にすれば、普通のUbuntuみたいに使えますか?
A. 近い使い方はできますが、“完全に同じ”ではありません。
永続化でも以下のような制限があります。
- 大規模アップデートには向かない
- ディスク書き込みが多いと保存領域が破損しやすい
- Linuxカーネル更新が難しい
- USB の速度が遅いと体感が重い
「持ち歩ける自分用環境」としては十分ですが、常用用途なら内蔵SSDや外付けSSDへの本格インストールの方が安定します。
Q5. USBメモリはどんな製品でもLiveUSBにできますか?
A. 技術的には可能ですが、製品によって快適さが大きく変わります。
推奨条件:
- USB 3.0 / 3.1 以上
- 信頼性の高いメーカー(SanDisk / Samsung / Kingstonなど)
- 容量 16GB 以上
- ランダムアクセス速度が速いものだと快適
安価で低速なUSBメモリだと、起動やアプリ動作が非常に重くなることがあります。
Q6. LiveUSB の Ubuntu にウイルスは入りますか?
A. 一般的な利用であれば心配はほぼ不要です。
UbuntuはLinuxベースで、Windows用のウイルスは基本的に動作しません。
ただし、
- 不審なソフトをインストールしない
- root権限を安易に使用しない
- 重要データを扱う場合は HTTPS を利用する
といった通常のセキュリティ意識は必要です。
Q7. LiveUSBでファイルを保存したのに消えてしまいました。なぜ?
A. 永続化が有効になっていない可能性が高いです。
標準ライブモードはすべて “お試し用” であり、再起動すると基本的にリセットされる仕組みです。
保存したい場合は、
- Rufus で「永続化(Persistence)」を設定する
- 永続化対応の作り方でUSBを作り直す
必要があります。
Q8. LiveUSB から本格的に Ubuntu をインストールできますか?
A. できます。
LiveUSB 起動後のメニューにある「Install Ubuntu」から、内蔵ディスクにインストール可能です。
ただし、誤操作でデータ消失の恐れがあるため、バックアップを取ってから実行しましょう。



